本稿の想定読者は自転車ツーリングをしたことがない人です。
自転車ツーリングも主にキャンプツーリングを想定しています。
本稿では"バイクパッキング"という言葉を、
「フレームバッグやシートバッグなど、ベルクロやバックルで自転車に直接つけるカバン」
という意味で使います。
パニアバッグも含むのではないか、とかこの定義には微妙に議論の余地はありますが、ここでは考えません。
ブームを振り返って
一昨年、去年くらいに日本で急にバイクパッキングシステムが脚光を浴びました。
背景としては、当ブログが想像するところでは、
- シクロクロスが普及してオフロードを走るハードルがぐんと下がっていたこと
- 世間がモノづくりからコトづくりにシフトしていること
- ユニクロが商品名にするくらいには、ウルトラライトという言葉が人口に膾炙していた
こんなのがあったと思います。
「日本で」という話なので、他の国にも言えることは除きました。
ちなみにウルトラライトとは、道具をシンプルにして自然とのワンネスを高めることが目的なので、ユニクロの例はいわゆるウルトラライトとは違うと思っています。
バイクパッキング BOOK 軽量バッグシステムが創る新しい自転車旅
- 作者: 北澤肯
- 出版社/メーカー: 山と渓谷社
- 発売日: 2017/02/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本も色々出ましたね。
これ以外は読んでないので紹介できませんが。
また石橋を叩いて渡らないと言われるアンカーが、バイクパッキングの広告記事を作るという事態に発展しました。
当時、名ツーリング車であったUC9系を廃盤にしてしまった直後だったこともあり、ものすごくアンカーらしくない行為でした。
そんな過熱ぶりがあったので、水をさす感じになりたくなくてあまり言及していませんでした。
でもやっぱり面白い話題だし、ブログの趣旨からいって取り扱わないのは、逆に困難です。
そんな雰囲気も気づけば大分落ち着いた感じがしていますので、これを以てまとめてみます。
バイクパッキングシステムを導入したい人に、まずはパニアバッグを勧めたい理由
いきなり結論に到達してしまいますが、まとめると
- お金がかからない
- 何も考えなくてもパッキングできる
- バイクパッキングシステムと競合しない
です。
順に説明します。
お金がかからない
お金がかからないと言うのは、単に節約とかそういう小市民的スケールの問題ではありません。
値段を理由に躊躇したり、何を買うか迷っている時間は、甚大なツーリングの機会損失となるからです。
未経験者が色々考えてもあんまり意味がないので、少ない初期投資で始めれるところから導入して、動きながら何が必要か考えたほうがいいと思います。
下手の考え休むに似たりというやつです。
以下の2点は自分が使用しているものと、まったく同一の組み合わせですが、国内定価で買っても25,000円くらいです。
「otakuhouse.orgは並行輸入品の紹介で広告収入を得ている!」と言われたくないので、代理店のカタログページを紹介するに留めておきます。
※キャリアにはフレームとの相性があります。確信が持てない方は、通販でなく自転車店でお買い求めください。
アルミキャリアはオフロードに弱いみたいな噂もありますが、上掲のタイオガのキャリアはもうすぐ使い始めて8年です(2018年2月時点)。
主なユースケースは当ブログの他の記事を見れば分かると思います。
難しいことを言えば、アルミキャリアは溶接が鉄より難しいので、発展途上国ツーリング中に折れると直すのが大変、というデメリットがあるらしいです。
発展途上国をツーリング中にアルミキャリアが折れて、直せるところを探した経験がないので分かりませんが、この記事の対象読者には関係がないので飛ばします。
なおアルミキャリアは自転車始めると同時に、店員に言われるがまま買った物なので、もっといい選択肢はあると思います。
何か買おうと思ってる人は、ぜひ自分の考えでご検討いただきたいです。
一方で、オルトリーブはバックルやキャリアに付けるツメが折れる話は聞きます。
それでも5年とか6年のスケールですが。
何も考えなくてもパッキングできる
パニアバッグの場合、同程度の容量のバイクパッキングシステムと比べると、パッキングに自由があります。
パニアバッグは20L程度のバッグが2つありますが、バイクパッキングシステムだと、それぞれ数Lのバッグに容量が分散しているためです。
もっと言えば天板が使えるので、同程度の容量であれば、この点に関してはパニアバッグが輪をかけて有利なります。
そうすると、例えばこういうバッグが載せられます。
この場合だと、40Lのパニアバッグと組み合わせれば、+25Lで65Lですね。
というか、この方法だったらパニアバッグ無くてもツーリングできます。
実際、「輪行が楽」という事情もあり、登山用バックパックとキャリアの組み合わせを常用している大学サイクリング部もあるようです。
背負えるというのは、トレイルや、土砂崩れ、雪山で自転車の押しや担ぎがやりやすいというメリットもあります。
この記事を読んでいる人が、のちにそういうレベルでツーリングしていると嬉しいです。
天板を使えばテントやクローズドセルのマットのような巨大な荷物を載せるのも簡単です。
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バイクパッキングシステムの場合、ちょっと成約があります。
適当に積載できるキャリアと比べると、一工夫いる感じですね。
ドロップハンドルだと、マットがハンドル幅を超えてくるので。
▲フロントバッグに付ける例
▲シートバッグにつける例
この項に関しては、制約をつけて荷物を取捨選択するのは楽しみの一つなので、今の自分としてはメリットかデメリットかよく分かりません。
でも、これからツーリング用品を揃えよう、という人には一考すべきメリットではないでしょうか。
バイクパッキングシステムと競合しない
▲以前のツーリングでオガワサイクルさんご提供のァットバイクに、手持ちのキャリアを合わせるために、ステンレス板を使いました。真似してほしくないです。
パニアバッグを勧めていますが、バイクパッキングシステムと二者択一でこちらを選択する必要はないです。
というか、パニアバッグとバイクパッキングシステムは相性がいいです。
リアキャリアを使う場合、シートバッグ以外とは競合が起こりません。
やっぱり選択肢としては全て用意しておいて、目的や季節で色々組み合わせを試していくのがいいと思います。
こうやって動的に全て運用するのがベスト、というのが最終的な結論です。
そこを踏まえてそれのみでツーリング装備を完結させやすいパニアバッグから導入することを勧めています。
▲軽量バックパックという選択肢もあると思います。自分が使っているのはハイパーライトマウンテンギア 2400 Windrider Pack。800gを超えるのでいわゆるULのバックパックからは2倍以上重い。でもフレームとクッションがあるし作りも丈夫なので、バランスがいいと思います。
パニアバッグから導入してみた結果、それで十分だった、ツーリングにハマらなかった、などの理由で結局バイクパッキングシステムを導入しないこともあるかもしれません。
が、それは初めからバイクパッキングメーカーの考えるユーザーではなかっただけの話なので、それで大丈夫です。
備考
随時追記していきます。
持ってる自転車にアイレットが無い場合
たしかに本稿ではこの問題を無視しています。
QRだと下記のような回避方法があります。
パニアバッグ、ダボ穴がなくてもツーリングサークル御用達のダボ付きシートクランプ(https://t.co/QMxckOicYo)とクイックエンドアダプター(https://t.co/vm90rs6ftB)があればロードでも使える
— ゲン (@gen_sobunya) 2018年3月1日
問題は筆者個人が実際に運用した経験がないことです。
使ったことある人いたらどうだったか教えてください…
バイクパッキングシステムで完結する程度のユースケースでしか使わないなら、いきなりそれで済ますのも良いと思います。