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アメリカで自転車に乗っていたら車に轢かれた話

先日のアラスカツーリングで車に轢かれました。

海外ツーリング中に交通事故にあった人のために記録を残します。

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まとめ

結果的には納得行く形で終われたものの、要領が悪く色々遠回りをしてしまいました。

特に「旅行している外国人で、ツーリングのためホテルに留まっていない」というのが、保険会社にとっても難しいケースだったと思います。

電話対応もたらい回し気味で、根気よく対応もとめる必要がありました。

 

反省点も含めて、今回学んだ点をまとめます。

結論が見たい方は、ここだけ読んでもらっても結構です。

  • アンカレッジのような車社会の都市では、自転車はレジャーで移動手段じゃない。自転車がいない想定で車が走っているので、青信号だから進んでいいわけじゃない。
  • State Farmという保険会社は日本語の通訳を入れて電話できる。他の保険会社でどうかは不明ですが、通訳入る可能性もあるし英語に自信なくてもちゃんと電話すべき。
  • 病院の請求書はメールですぐに送ってもらう。米国滞在中に支払いを済ませたいことを、ちゃんと伝えておく。
  • アメリカの銀行口座を持ってないと保険会社からの銀行送金はできない。小切手しかない。小切手はアメリカの銀行で口座を持ってなくても現金化できる。
  • 筋が通ればちゃんと言い値で払ってくれるので、受けたダメージはちゃんと請求すべき。
  • 保険会社からの郵便物が受け取れるように、最終日のホテルを予約しておいて、郵便物をとっておいてもらうようお願いする。

 

以降、事故発生とその後の経緯についてまとめます。

 

事故について

事故の状況

青信号で横断歩道を渡るときに、信号待ちしていた車が突っ込んできました。

車のスピードが出ていなかったのと、車と身体はぶつからず後輪にバンパーをあてられただけなので、幸い軽傷で済みました。

どちらかというと、その結果転倒したことによるダメージが全てです。

 

怪我の状況

打ちみはありますが、歩けるし、自転車に乗れることもできました。

 

外傷

目に見えるは擦り傷程度しかありません。

素人判断で治療の必要なしと判断しました。

 

その他

転倒時に頭を地面でぶつけました。

このときは気づかなかったけど、あとから頭痛と首の痛みがでてきました。

そのため病院に行きましたが、これについては後述します。

 

事故後の状況

運転手の対応

事故の瞬間、車から飛び降りて "I'm soooo sory!!!!" と言いながらこちらに駆け寄ってきました。

アメリカ人はこういうとき、オフィシャルな結果が出るまで謝らないみたいなステロタイプあると思いますが、それに反する反応です。

その後、こちらの怪我が大したことなさそうなのを確認すると、警察を呼んでくれました。

運転手の加入してる保険を使うためです。

 

この事故は最終的に納得した形で終わるのですが、結局、この運転手が定職を持って保険に入った善良な市民であったことが、すべての決め手になりました。

 

通行人の対応

事故を見た人が次々と集まってきました。

まずは自分の身体を心配してくれます。

警察到着後は事故の状況を証言してくれました。

中には通り過ぎたあと車で戻ってきてくれた人もいました。

 

警察の対応

そこにいた人の話を聞きながら、その場で100%車の過失と判断し、ドキュメンテーションしてくれました。

こちらには保険会社に連絡するためのカードを作って渡してくれました。

以下のことが書かれています。

  • 運転手の名前
  • 車種
  • 保険会社で使うID (何に紐付いてるか不明。加入者? 事故?)
  • 保険会社の電話番号

 

こちらの行動

とりあえず宿に引き返すことにしました。

特にロジカルな判断をしたわけじゃないけど

  • まだアンカレッジから数マイルしか進んでいなかったこと
  • 自走できたこと
  • もう走る気になれなかったこと

が理由です。

 

病院での診察

結論としては問題がなかったです。

 

病院に行った理由は、素人では判断できない脳の外傷を調べるためです。

事故発生かしばらくして頭痛が発生し、翌日になっても治らなかったため、不安になっていきました。

たまたま土曜日だったので、ちょっと大げさだなと思いつつ、仕方なく大きな病院のEMERGENCYに行きました。

 

診察は医師による口頭での質問、視診、触診で済みました。

結果、脳に外傷はなさそうとのことで、機械による精密検査はなく終わりました。

 

なお診察は日本語通訳者を介して実施しました。

「Translatorだ」と言いながらタブレットを持ち出したので、機械翻訳かと思いきや、日本語話者のおばあちゃん (何人か不明) との通話でした。

けっこうなおばあちゃんで、それ故にしゃべるのが遅く、直接喋ったほうが早いレベルでしたが、ゆっくりながら複雑な言い回しを的確に訳していたので、あってよかったです。

 

実際には精密検査をするチャンスはあったのですが、

「医師の立場からは検査は不要と判断します。あなたの希望で受けることができます。どうしますか?」

という物言いだったので、保険が適用されるか不明だし、何より不要だと言ってくれてるので、言われたとおり検査は受けませんでした。

 

このとき説明されたけど、アメリカで精密検査すると高額になるらしく、医師もそこを心配して確認してくれました。

この後、保険会社とのやり取りの中でも、怪我がないことの次に、検査の有無を心配していたので、大変高額なのだなあという印象を受けました。

具体的な額は聞いてませんが。

アメリカはやはり金が無いと人権も無さそうですね。

 

請求書はあとで日本の住所に送る、と言われました。

請求の確定に3日かかるそうです。

事故当時の警察の説明でも「病院から来た請求書をそのまま保険会社に送るように」とのことだったので、めんどくさいけど帰国後に対応するか、ということで了承しました。

ただ、これが原因でその後、大変面倒なことになりました。

 

保険会社への請求

とりあえず警察にもらったカードに従って電話しました。

保険会社はState Farmという大手です。

その結果、下記2点に対応する必要があることが分かりました。

  1. 事故により発生した損害に対する請求
  2. 保証金の支払い方法の確立

 

保険会社との通話は日本語の通釈者を入れてできました。

こっちの英語が辿々しいことから、先方のオペレータが「何語で話したい?」と聞いてきたので、日本語と答えたら日本語の通訳者を入れてくれました。

これがないとかなり苦しかった。

 

事故により発生した損害に対する請求

こちらが請求したのは下記です。

請求は基本的にメールで行いました。

病院の請求書だけは、なぜかState Farm側が「届いていない。FAXしてくれ。」と主張するのでFAXしました。

日本なら適当なコンビニに行けば済みますが、アメリカでは郊外のFedExのオフィスまで行く必要があります。

 

事故により発生したホテル代

事故により結果的にアンカレッジに余分に2泊しました。

「もともとキャンプをしながら旅をする予定だったので、あなた達はこのホテル代を負担すべきだ」という主張で、通るか微妙でしたがしっかり払ってくれました。

ExpediaからDLしたpdfの領収書を送りました。

 

事故により自転車についた傷

事故のせいで、ハンドルバーとブレーキレバーに傷が付きました。

アメリカ人って乗り物の傷にめちゃくちゃ寛容なので、認められるか不明ですがダメ元で申請したところ、こちらも言い値で保証してくれました。

メールには

  • 傷の写真
  • Konaの本国サイトのパーツのアセンブリングが書かれたページのURL
  • ハンドルバーとブレーキの値段が分かるURL
  • ハンドルとブレーキ交換の工賃が書かれた大手自転車屋のページのURL

を添付しました。

 

ヘルメット代とグローブ代

転倒時に頭と手を地面にぶつけました事による損害です。

グローブは明確に破れていたので請求しやすかったです。

ヘルメットについては目立つ外傷がなかったので「一般的に、ヘルメットメーカーは一度ぶつけたヘルメットの安全性を保証しない」などの、文言を付けて請求しました。

その場でREIに行って新品を購入し、メールにはそのレシートの画像を添付しました。

どちらもレシート通りの額が支払いされました。

 

病院の診察代

上掲したとおり「3日後に請求書が発行され、日本に送る」とのことだったので、額が分かりません。

「額が分からないんですが…」と保険会社に連絡したところ、米国滞在中に何とかせいと正論を言わました。

 

結局、病院に電話して請求書をメールしてもらいました。

病院との電話は通訳が使えないのでかなり苦しかったです。

窓口の人の英語はきれいなのでけっこう聞き取れますが、請求をしている部署の人がめちゃくちゃに訛った英語を話す人で会話が困難でした。

部分的に難しいところはきれいな英語を話す職員に通訳に入ってもらう、というおかしなことになりました。

 

支払いも電話で済みました。

具体的には電話口でクレジットカード番号を伝えて、その場で決済してもらえました。

もともと帰国後に支払う予定だったので、何らかのトラブルで支払いできないことを心配していましたが、米国滞在中に決済できたのはかなり安心しました。

ここで結果的に医療費を踏み倒すことになると、次回以降のESTA取得に影響出るか?など心配していたので…

 

ここでの反省点としては、病院で診察を受けた時点で

  • 請求書はメールですぐに送ってもらうこと
  • 米国滞在中に支払いたいこと

をちゃんと伝えておくことですね。

これをやっていなかったので、余計な心配と時間を使いました。

 

なお明細を見ると、請求は400USDでしたが「保険」が適用されて、46USDになっていました。

これが何の保険なのか全く分かりません…

病院側も詳細は教えてくれませんでしたが、とにかく日本人旅行者でも受けられるものだから、とのことでそれ以上聞きませんでした。

 

慰謝料

怪我はなく旅行は再開できましたが、旅行中に事故のせいで時間を無駄したので、慰謝料くらい払ってほしいところです。

相場が不明なので具体的な額を提示せず、慰謝料を請求してみました。

 

結果的には「診察台と慰謝料をあわせて1,500USDで和解しませんか?」と、先方から相談され和解に応じることにしました。

この額はヘルメット代やホテル代などの、プロパティダメージとは別です。

治療費が46USDなので、日本円で15万円近い慰謝料です。

これが損か得か判断が付きませんが、思ったよりもらえたなという気持ちです。

 

 

保証金の支払い方法の確立

結論を言うと、USの銀行口座を持ってないなら、小切手による送金以外ありません。

小切手はホテルに送ってもらい、その場で近所の銀行で現金化しました。

 

銀行送金の失敗

State FarmにはEFTという銀行送金システムがあるようで、そちらのアカウントを設定するように言われました。

原因は不明ですが、この作業がエラーが出て進められず、State Farmのテクニカルサポートに電話して (英語のみ)、3日後にようやくアカウント設定するところまでたどり着きました。

しかし、アカウント設定を試みた結果、上掲したようにアメリカの銀行口座でないと非対応なことが分かりました。

 

小切手による送金

電子送金ができないことが判明した時点で、小切手による送金に切り替えました。

小切手はアメリカの銀行で現金化してくれます。

このとき銀行口座は不要です。

パスポートを見せてれば現金をくれます。

 

実はアンカレッジを発つ前に、最終日のホテルを予約しておいて、ホテルに状況を説明し「Sate Farmから郵便物が来たら受け取っておいてくれ」と、お願いしてあったのですが、これが功を奏した結果となりました。

 

 

以上が、事故とその後の対応です。

キャンプツーリング中にこれをこなすのは大変でしたが、今となってはよい勉強になったしいい思い出です。

重ねていいますが、今回の事故は加害者が善良な市民だったり、目撃者が協力的だったことに助けられています。

無保険の方に轢かれていたと思うとぞっとします。