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北海道冬期ツーリング②

冬の北海道をツーリングしてきた話。北海道冬期ツーリング①の続き。

 

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4日目:阿寒湖→足寄

この日は距離も短く、降雪で天気も悪かったため、 撮影日としました。天気の悪いなか自転車に乗っている写真を撮っておきたかったのです。Twitterとかでバズりやすいのは、観光パンフレットに乗っているような景色の前にロードバイクを置いた写真ですね。このようなツーリング風景を「PTA会長のババアが考えたよい子のツーリング」と捉えています。それがつまらないというわけではないんですが、他人に見せたいのはそうでない部分だと思っているのです。

 

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 ▲トラックが通ると雪が舞って視界がなくなる

 

@hisanoriuedaさんに、「ツーリングの写真をアップするときは、一人でも必ず三脚を使って自分を入れたほうがいい」という、アドバイスを受け今回実践してみました。今まで一人でツーリングするときは一人称視点で風景と自転車を混ぜたような写真しかとってきませんでした。確かにこのほうが反響が大きい、というのは今回感じた手ごたえの一つですね。GoPro用の多関節の三脚だったために、調整用のねじが旅の序盤でどこかに消えて使えなくなってしまいましたが。

 

5日目:足寄→糠平

糠平湖に関する情報がほとんどなかったので、情報を集めながら行くことにしました。気になるのは、テントが張れそうか、温泉と、ご飯屋さんと、コンビニ等の有無。テントは快適さに差はあれ、最悪どこでも張れるので、現地についてから聞き込みすることにします。糠平湖は温泉街なので温泉の心配もしなくてよいでしょう。ご飯屋さんもコンビニさえあれば、あったら嬉しい、くらいの優先度。ということで今回はコンビニ等に集中して調べることに。特に、糠平湖にコンビニ等がない場合、二日後の夜まで食べ物が一切補給できない状態になるので、大変重要な情報でした。

 

北海道冬期ツーリング①で、地元民の情報があてにならないことを、久しぶりの中長期ツーリングで思い出せたので、今回はいろいろな人に聞いて冗長性を高めます。しかしみんなバラバラのことを言うので、入念な聞きこみの末得られた答えとしては、よく分からないということです。結局、最悪の場合を考えた量の食べ物を購入していきました。

 

糠平湖で適当に選んだ温泉は、混浴露天風呂付でした。混浴は往々にして男湯でしかないので、特に思うところもなかったのですが、露天風呂の場所が分からず、裸で廊下を徘徊する若い白人女性を見かけました。これは彼女が悪いわけではなく、古びた温泉旅館のため、外国人向けの表記が一切なかったのです。常連客に聞いたところ、どうやらネットの外人コミュニティで口コミされているようで、それなりに外人の客入りがあるようです。「じゃあ英語表記はないとダメですね」とコメントしたところ、教師をする常連客の一人が今度作ることに。図らずしも温泉コンサルタントとしての仕事を務めてしまいました。

 

地方をツーリングをしていると、けっこう自分レベルでもコンサルできる余地がある商売を見かけます。それは決して専門的なことではなく、「看板をここに置いても見えない」とか、「この写真は美味しそうに見えない」とか、「この文章は意味が一見して分からない」とか、そういうレベルです。Twitter等では「大学を減らしてトップ層の教育だけ助成しろ」という意見を散見しますが、こういう直感レベルのことが分からない人材が世の中を支えていると思うので、平均や中央値の教育水準を上げていくことの重要性を感じます。

 

夜営業しているご飯屋が一軒もなかったので、温泉でオーナー夫婦の晩御飯を分けてもらいました。助かりました。

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 ▲中央に見えるのは焼きそば弁当。切ったゆで汁で画面左手前のスープを作る、道民のソウルフードの一種。

 

6日目:糠平湖→層雲峡

糠平湖を散策するつもりでしたが、すぐに撤退しました。天気が悪くほとんど何も見えなかったのと、夏の台風で増水していてタウシュベツ川橋梁ふくむ、歴史的建造物が何も見れなかったためです。タウシュベツ川橋梁が見れないことは、観光ガイドを名乗るスノーシューと釣り竿を持った初老の男性から聞きました。ちなみになぜ釣竿を持っているかと言うとワカサギを釣るためです。

 

糠平湖の温泉街では三国峠頂上の喫茶店は閉まっているとの情報を聞きましたが、観光ガイド曰く今日から営業再開らしいので、観光ガイドの言うことなら、と期待して行くことにします。

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糠平湖。この状況で湖上を歩いて橋梁を探すのは困難。

 

今日は北海道最高所の三国峠を越えます。北海道最高所といっても1,139mしかないことと、北海道に急な坂はないので、山自体は大したことはないのですが、問題はやはり気温です。当たり前のこことして、標高が上がれば気温が下がるので、寒くなりすぎないうちにさっさと下ります。また観光ガイドがやっていると言っていた頂上の喫茶店はやっていませんでした。頂上で天気が変わっているのか、たまたまタイミングが悪かったのか、下ろうとすると地吹雪が吹き始め、層雲峡に着くころには指が凍傷を疑う状態になっていました。温泉で温めたら治る程度でしたが。

 

地吹雪の中自転車に乗っていた風景は、どう考えても写真に収めておくべきですが、それができなかったのは、辛すぎて写真を撮ることができなかったからです。今回のツーリングで写真を撮るというのは、グローブを外して懐で温めておいたカメラを出して撮影する、ということですが、環境が過酷すぎるとどうしてもできなくなってきます。分厚いグローブを付けたまま操作できるものとしてはGoProが非常に優れたデザインをしていますが、電池が信じられないくらい寒さに弱く、今回はほとんど使えませんでした。また暗さに弱いという問題もあります。カメラ問題は今後解決すべき課題の一つですね。

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三国峠

 

実は国道273号は峠の前後で除雪業者が変わります。糠平湖側が上手い業者で、層雲峡側が下手な業者。 降雪時に自転車で越えるときは、層雲峡側から行ったほうがよさそうです。

7日目:層雲峡→美瑛

 特に何ということはない移動日ですが、旭川市内は大変走りにくかったです。理由は交通量が多いことに他なりませんが、そのせいで路面が氷のグラベルのような状態でした。当然スパイクタイヤを履いているのですが、フラットなアイスバーンには強いものの、凹凸の氷にはほとんど効果を発揮しません。重ねて言いますが、交通量も多いので、転倒したら非常に危険な状況でした。今回のツーリングで一番険しかったのが、ほかでもない旭川市内です。

 

そんな最悪の路面状態の旭川市内は避けてもよかったんですが、避けられない理由がありました。回転ずしです。回転ずしとか港町の海鮮丼とか、価格帯が低い食べ物のほうが北海道を体感できるというのは真実です。お金を出せばもっとおいしいものは食べられますが、お金を出しておいしいものが食べられるのは東京でも同じだからです。

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▲北海道を代表する回転ずしチェーン、トリトン

 

8日目:美瑛→旭川空港

午前中、美瑛の丘を見てから空港に向かう一日で、自分の中ではエピローグに近い位置づけをしていた行程です。これは冬の美瑛に対する期待値が高かった、というのが大きな理由になっています。「美瑛 冬」で画像検索してもらうとお分かりかと思います。これは前掲した「PTA会長のババアが考えたよいこのツーリング」の範疇かもしれませんが、やはりきれいなものはきれいなので、SNS等にアップするかはともかく、見に行くべきとは思っていました。

 

行って分かったのは、美瑛だからと言って、冬に行っても特別きれいなわけではないということです。「美瑛ならではの美しさ」が雪景色になることで失われ、その辺の丘や畑と何らそん色なく、優位に美しいといえなくなっています。今回は天気に恵まれませんでしたが、それを差し引いてもそう言えます。「美瑛や富良野でなければ奇麗じゃない」というのを、何となく思っている人は多いと思いますが、観光事業者の努力が奏功していると言えますね。

 

美瑛ではちょっとしたトラブルに見舞われました。美瑛の丘でチェーンが切れてしまい、チェーン切りを忘れていることに、ここで初めて気づきました。どうやらオガワサイクル(@ogwcycle)の小川さんによると、寒いところではチェーンやワイヤーが切れやすいらしいです。そもそも使っていたチェーン自体、このツーリングが終わったら交換しようと思っていたもの古いことは確かなので、悪い条件が重なってしまったようです。7年間乗っているカンチブレーキのフレームですが、早く油圧ディスクにしなければという思いを強めました。それとチェーン工具付きの携帯工具を買おうかな。昔、クランクブラザーズのものを使っていましたが、チェーン工具がほとんど使い物にならなかったので、オススメがあれば教えてほしいです。

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 ▲登りでトルクをかけながら変速したらねじ曲がりました

 

結局、5kmほど自転車を押して歩いて、ほとんど廃業しているようなママチャリ屋でチェーン切りを借りて凌ぎました。Google Mapで自転車屋を調べても旭川市内にしかなかったので、この日は飛行機を見送って明日の便にするくらいの覚悟はしていましたが。今回の旅行で唯一、地元の方の情報に助けられた例と言えます。

 

終わりに

初めての冬の北海道で、どうしていいか分からず、終わってから思えば大変心残りのあるツーリングになってしまいました。今回は過去に3回夏にツーリングした経験から、好きな場所を冬に行ってみることにしましたが、これが良くなかったと思っています。結局、「夏に行ってよかった場所が、冬どうなっているか確認する作業」に近い状態になってしまい、質の高いストーリーが作り出せなかったです。ストーリーテリングは物は言いようという側面もあると思いますが、やっぱり質の高いストーリーがあっての話だと思うので。

 

冬に北海道に行く意味を考えると、例えばもっと道東の果てに行ったほうがよかったと今なら言えます。北海道冬期ツーリング①にも書いた通り、もとはと言えば厳しい冬の第一歩として、まずは北海道から慣らしていこう、というつもりがあったので、旭川や美瑛がそれにふさわしくないのは明らかです。そうすると自然が豊かで厳しい道東が一つの簡単な答えになると思っています。

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▲instergramからの転載ですが、道東の果てには例えばこんな風景があります。

 

 

以上、①②と普段記事に書かない感想を抽出してみました。次からは装備や道の話をしてみたいと思います。こんな話が聞きたい、というところがあればお待ちしています。