1ヶ月ほどアメリカ西海岸を自転車でツーリングしてきました.
旅行記的なネタもあるのですが,ひとまず,今回溜まった海外をツーリングする上でのノウハウを忘れないうちにアーカイブすることにしました.
まずは輪行からです.
入れ物について
調べたわけではないのですが,自転車を飛行機に持ち込むときは容器が必要です(裸で輪行した経験がある方,ぜひコメント頂けると嬉しいです).方法としては(1)段ボール,(2)輪行袋,(3)ハードケースの3種類があると思います.(1)はメーカや問屋が自転車を卸すときに使うものです.ツーリングで一般的かつ,自分が試した(1)と(2)を中心に書きます.
(1)段ボール
以下の写真のようなもので,可能ならこれが一番いいと思います.初日の宿で捨てて,最終日付近に再び現地で手に入れます.今回もこれを採用しました.
入手方法
自転車屋でもらうことができます.僕はサークルズで頂きました(ありがとうございました / Circles/名古屋の自転車屋).ただ自転車屋さんも,自転車を入荷するタイミングと捨てるタイミングは決まっているので,いつでも手に入るわけではないです.なるべく早く「○月○日までに欲しい」と連絡した方がいいです.
帰りの入手は少し厄介です.帰りの飛行機の出発地点がポートランドやサンフランシスコみたいな自転車の街なら,何件か回れば時間の問題で手に入ると思います.そうじゃない場合,大きそうな自転車屋の目星をつけて,かなり余裕を持って連絡してメールしておきたいです.海外の自転車屋に顔が利く知人がいれば,そういう人材にお願いするのも手です.
アメリカに関して言えば一部の駅でも手に入ります.鉄道だとアムトラックとかで,バスの駅でも手に入るみたいです.これはアメリカの輪行は輪行袋ではなく,段ボールを購入して預け荷物として輪行するからです.ただ全ての駅で手に入るわけではないので,ホームページで要確認です.ちなみにカスケードライン(PDXやEUGを通る路線)とか,都市部の鉄道や路線バスだと,自転車乗りが多いのでそもそも電車にバイクラックがあったりします.僕は可能性として考えていましたが,結局,駅で段ボールを買うことはなかったので,詳細はご自身で調べてください.(その際は,使い勝手等ご一報くださると嬉しく思います).
ちなみに僕は今回は人からもらいました.シアトルから帰ったのですが,ポートランドで泊まったゲストハウスに,他のお客さんが輪行で使ったトレックの段ボールがあったからです.もっとも,ポートランドなら自転車屋さんは無限にあるので,確実に見つかったと思いますが,観光の時間が増えたので良かったです.まあ参考にならないと思うので,やっぱり空港近くの自転車屋さんに早めに連絡してください.
使い勝手
基本的に前輪を外してステムを曲げるだけで自転車が全て収まります.ただ実はサイズには大小があるのですが,制限がなければなるべく大きい物を選んだほうがいいです.隙間にテントとかを入れることができるからです.僕は自転車に加えて,
- ヘルメット
- テント
- マット
- 寝袋
- ボトル
- 一部の服
- キャリア前後
を入れました.
まあそんな感じで詰めたので,結局,預け荷物は段ボールとパニア1個,持ち込み荷物はパニア1個という感じでした.
良い所
悪い所
- 帰りのことを前もって決めておかなければならない.
- すぐ手に入るとは限らないので,1週間くらいのツーリングだと厳しい.
- 厳しい航空会社だと,ほぼ確実に超過料金がかかる(詳しくは後述)
(2)輪行袋
正直,使わなくていいなら使いたくないです.
画像元:— 関西シクロクロスも閉幕し、シーズン終了モードだったのですが、いつものライバル達が苦しんでいる姿をコース...
破損対策と実績
僕はかなり無神経な方なので,あまり参考にならないかもしれません.
- リアディレーラを外してチェーンステーにテープで縛る.
- フロントはアウターに入れておく.
- 効果は不明だけどお守り程度に,「レース用の自転車です」と書いて荷物運ぶ人に緊張してもらう.
以上です.フレームにプチプチとか巻く人もいるそうですが,やったことないです.上に書いた3点すらあんまり意味ないと思っているくらいです.
上の要領で(片道を1回とカウントして)8回飛行機輪行しましたが,1回カンチブレーキが壊れただけでした.なのでブレーキさえ外していれば多分1回も壊れなかったと思います.傷については元から結構あったのでよく分かりません.僕はツーリストなのでフレームさえ壊れてなければ,「旅先の自転車屋でパーツを買えばよい」という立場なのでブレーキが壊れるくらいいいのですが,そう思うとレースの遠征ではやっぱり輪行袋はダメそうです.でもレースの遠征をそもそもしたことがないので,そのあたりは詳しい人に聞いてください.
破損対策は色々やる人はいるみたいですが,輪行袋の範囲で何してもあまり意味が無い,というのが僕の見方です.先日従姉妹が飛行機に乗ったところ,スーツケースが10cmほど凹むトラブルがありました.飛行機や荷物の輸送のトラブルで万が一かかる衝撃ってかなり大きいので,小手先の工夫ではどうにもならないと思うからです.壊れるときは注意しても壊れるし,壊れない時は何もしなくても壊れないんじゃないでしょうか.
そういう訳なので,壊れてほしくない自転車はやっぱりハードケースで輸送してください.これは段ボール輪行にも言えることです.壊れる時は壊れるし,ほぼ大丈夫という方法は現状ありません.
使い勝手
繰り返しになりますが,あんまり使いたくないです.
良いところ
悪いところ
- 面倒
- 段ボールやハードケースに比べるといろいろ気を使う.
- (捨ててもいいけどもったいないので)荷物が増える.アメリカツーリングは輪行袋を使うことがないので,何の得もありません.
持ち込み制限や超過料金など
普通の航空会社は預け荷物と持ち込み荷物が2個まで預けられますが,自転車が関わってくると色々考えておきたいことがあります.考えたいところは航空会社の規定と,荷物検査の緩さですが,どっちも航空会社に依存しているような感じなので,ざっくり航空会社で選べばいいような気がします.超過料金は片道150ドルあたりが相場みたいです.
一般的に飛行機輪行のノウハウとして「ホームページの規定をしっかり読んで〜」と言われるけど,実態は必ずしもルール通りじゃないので,体験談としてどうかがけっこう重要だと思います.きっと超過料金は職員の給料に反映されないどころか,請求すると手間が増えるのが原因ではないでしょうか.ルール通りじゃないと言っても,緩くなることはあっても,厳しくなることはないと思います.体験談として「あそこの航空会社はサイズ・重量制限あきらかに越えてても無視する」みたいな知識は確かにあるのですが,名指しで言及するとマズいと思うので,そういう情報は避けます.
オススメ
今回アシアナ航空を使いましたが,アシアナ航空は会社の規定で自転車にはサイズ制限が適用されないので,大満足でした.重量制限は普通のスーツケースとかと同様ですが,今回は適用されませんでした.何キロだったのかは分かりません.
よくないところとしては仁川空港経由になるので,数時間~20時間ほど余分にかかりますが.しかし,
ので,時間がかかることを「待つという労働」と捉えて時給換算すると,並の会社の正社員を凌ぐ生産性です.1週間程度の旅行だと20時間も増えたら考えものですが,長期旅行なら誤差の範囲です.
アメリカで出会ったサイクリストによると,南米に行くときは同じ理由でブラジル航空がオススメだそうです.
ANA
規定のことはよく分かりませんが,後輪はずさない輪行袋で何度か輪行しても一回も超過料金を請求されたことはありません.完全に袋に収まっていなくても大丈夫なようです.
JAL
1往復分しか使ったことがないのでマスなデータではないですが,事実だけを書くと,
日本から出国した時:後輪を外さずに輪行袋に入れたらメジャーで測られて超過料金を請求されました.
日本に帰国する時:目測で適用されませんでした.
デルタ航空
候補としては考えて規定など調べたところ,「一部の地域を除いては自転車にサイズ規程は適用されない」そうです.ただ使ったことある人によると,毎回きっちり150ドルかかるみたいです.
ユナイテッド航空
これも僕が直接使ったわけでないですが,下のリンクによると片道200ドルしっかり請求されるみたいです.
輪行-バス電車飛行機 | No Bike, No Life.
知人の話では(アメリカ)国内線でもキッチリ請求されたそうな.
その他
随時,追記していきたいです.
TSA(2016/03/21追記)
渡米経験のある方はご存じかと思いますが,アメリカの空港では一部の荷物をTSAの職員に開けられて目視検査されます.
スーツケースなどに鍵がかかっていれば破壊されます.段ボールに関しては破壊せずにテープだけ切れば開けられるはずですが,そういう感覚は通用しないので何故か段ボールが破壊されます.段ボールは壊れ方に応じて自転車の破損のリスクも高まりますが,既に書いたとおり,壊れてほしくない自転車は輪行袋や段ボールで輸送すべきではないです.
輪行についてはざっとこんな感じです.
質問などあれば追記していきたいので,お待ちしています.